本日はの土地の合筆についてです。
電車での通勤時間や移動中のスキマ時間で回答できるボリュームです。
頭の体操にいかがでしょうか。
問1
甲土地と乙土地とが地図に準ずる図面上相互に接続しているときは、現地においてその所在を確認することができなくても、甲土地と乙土地との合筆の登記をすることができる。
現地において相互に接続していない土地は、たとえ地図に準ずる図面上で接していたとしても、合筆することができません。
問2
甲土地及び乙土地のいずれかについても買戻しの特約の登記があるが、いずれも買戻しの期間が満了しているときは、甲土地と乙土地との合筆の登記をすることができる。
所有権の登記以外の権利に関する登記がある土地は、合筆することができません。
買戻しの特約の登記は所有権の登記以外の権利の登記にあたりますので、
たとえ期間が満了していたとしても合筆をすることができません。
問3
甲土地に要役地を丙土地とする地役権の登記があり、乙土地に要役地を丁土地とする地役権の登記がある場合でも、甲土地と乙土地との合筆の登記をすることができる。
原則、所有権の登記以外の権利の登記がある場合は、合筆することができませんが、例外として承役地についてする地役権の登記である土地は合筆することができます。
地役権は土地の一部にも設定することが可能ですので、たとえ合筆したとしても要役地についてする地役権者は不利益を被らないということになります。
問4
同一の債権を被担保債権とする抵当権の設定の登記がある甲土地び乙土地については、その登記の申請の受付の年月日が異なっていても、合筆の登記をすることができる。
原則、所有権の登記以外の権利の登記がある場合は、合筆することができませんが、例外として担保権の登記の目的、受付年月日及び受付番号並びに登記原因及びその日付が同一の場合は、合筆することができる。
問5
甲土地に甲土地の所有者が所有する住宅用建物があり、登記のない賃借権が設定されている乙土地に賃借人が所有する店舗用建物があるときは、甲土地と乙土地との合筆の登記はすることができない。
登記のない賃借権が設定されていたとしても合筆の制限にはなりません。
また、賃借人の建物が存する土地の場合も合筆の制限にはなりません。
あくまで登記された所有権の登記以外の権利に関する登記がある土地については合筆することができないということですね。
合筆について
合筆は複数の土地を1つにまとめてしまう登記です。申請人となり得るのは所有権の登記名義人又は表題部所有者に限ります(共有であれば共有者全員からの申請となります)。
所有権の登記名義人からの申請であれば、登記識別情報と印鑑証明書の添付と登録免許税が合筆後の筆数×1,000円必要ですが、表題部所有者からの申請であればそれが不要となります。
所有権の登記以外の権利の登記がある土地や地目が異なる土地は合筆することができなかったりと、土地の合筆にはいくつか制限があります。
また下記のように特例も設けられているので、下記の事項は暗記が必要です。
【土地の合併制限】
1)土地の合筆の登記の制限(不動産登記法41条)
次に掲げる合筆の登記は、することができない。
1.相互に隣接していない土地
2.地目又は地番区域が相互に異なる土地
3.表題部所有者又は所有権の登記名義人が相互に異なる土地
4.表題部所有者又は所有権の登記名義人が相互に持分を異にする土地
5.所有権の登記がない土地と所有権の登記のある土地との合筆
6.所有権の登記以外の権利に関する登記がある土地(権利に関する登記であって、合筆後の土地の登記記録に登記することができるものとして法務省令で定めるものがある土地を除く。)
2)合筆の登記の制限の特例(不動産登記規則105条)
法41条6号の合筆後の土地の登記記録に登記することができる権利に関する登記は、次に掲げる登記とする。
1.承役地についてする地役権の登記
2.担保権の登記であって、登記の目的、申請の受付の年月日及び受付番号並びに登記原因及びその日付が同一のもの
3.信託の登記であって、法第九十七条第一項 各号に掲げる登記事項が同一のもの
4.鉱害賠償登録令第二条に規定する登録番号が同一のもの