こんにちは、ゆうぞう(@you3tips)です。
土地家屋調査士試験に合格された方の次のステップは『開業』だと思います。
そして土地家屋調査士を開業する上で最初の検討事項といえば「場所の選定」ではないでしょうか。
親が土地家屋調査士で合同事務所にする方、調査士法人に入る予定の方は別かもしれませんが、個人で独立する方は1からのスタートです。特に場所の選定が重要なファクターです。
選定理由は
「業務経験のある市や区で開業したい」
「今住んでいる自宅(借家)で開業したい」
「実家に帰って開業したい」
「同業の先輩の近くで」
等、人それぞれあると思いますが、
何となく決めていませんか?
差し当たり自宅開業という選択は経費を考えれば至極当然だと思いますが、もし何も考えなく決めているのだとしたら少し勿体ない気がします。
と言うのは、どの業界でも立地条件によって競争力が大きく違ってくると言われているからです。
コンビニなんか特にそう。立地で8割方決まると言われています。
これは土地家屋調査士も同じことが言えるのではないでしょうか。人目につく場所、交通の便が良い場所、ライバルが少ない場所の方がいいに決まっています。
初めはお客様からの信用が「0」に近い状態でスタートするわけですから。
- お客様が来やすい・目につく
- 不動産屋・ハウスメーカーが近くにある
- 同業者が多い・少ない
- 人口が多い・少ない
こういった前段階の調査はとても重要なことだと私は思います。
地域の特徴を掴めばこれからの戦略がたてられます。経験豊富な先輩方とどう差別化するか、仕事を貰うには何をしなければならないのかということです。
その為には様々な情報を独自で集めて、解析していくことが必要です。実際に地域を散策してみたり、先輩に直接聞いたり、ネットで検索したり方法はいくらでもあります。
そんな情報に溢れた昨今ですが日調連公式サイトでは土地家屋調査士について様々な情報を公開しているので、今回はその情報を見ていきたいと思います。
Contents
日本土地家屋調査士連合会の情報公開は中々興味深いテータですよ。
情報公開のメインとして上記のことが掲載されていますがその他にも下記のことが公開されており、これがとても面白いんです。
土地家屋調査士白書2016
- 特集 筆界特定制度創設10周年記念講演会
『筆界特定制度10年の歩みと未来への提言』 - 第1章 日本全国あなたの近くの土地家屋調査士
1. 全国の土地家屋調査士人口 2. 土地家屋調査士試験受験者数、合格者及び合格率 3. 都道府県別人口と各法律専門職等士業人口 4. 各都道府県における土地家屋調査士(法人含む)事務所の補助者について - 第2章 日本経済に貢献する土地家屋調査士
1. 不動産登記事件数の推移 2. 土地の表示に関する主な登記事件数の推移 3. 建物の表示に関する主な登記事件数の推移 4. 土地家屋調査士とオンライン登記申請 5. 参考資料 国土交通省「土地白書」から 6. 公共嘱託登記 - 第3章 日本社会に寄り添う土地家屋調査士
1. 土地家屋調査士会が運営するADRセンター 2. 筆界特定制度 3. 土地家屋調査士による社会教育活動 4. 土地家屋調査士会等による全国自治体との防災協定 5. 空家等対策に関する土地家屋調査士会の参画 6. 東日本大震災と土地家屋調査士の相談業務 - 第4章 自らを省みる土地家屋調査士
1. 土地家屋調査士の登録 2. 懲戒処分 - 第5章 研鑽し続ける土地家屋調査士
1. 土地家屋調査士特別研修とADR代理関係業務認定土地家屋調査士 2. 土地家屋調査士会による研修会 3. ブロック協議会による新人研修 4. 土地家屋調査士の研修の充実(研修ライブラリ、eラーニング) - 第6章 研究し、発信し続ける土地家屋調査士
日本土地家屋調査士会連合会の「研究所」について - 第7章 仲間を支え合う土地家屋調査士
1. 全国の土地家屋調査士会 2. 日本土地家屋調査士会連合会組織について 3. 土地家屋調査士政治連盟 - 第8章 進化を続ける土地家屋調査士
1. 土地境界紛争が起きない社会~「境界紛争ゼロ宣言?」~ 2. 国際地籍シンポジウムの開催 3. 地籍問題研究会 4. 土地の筆界に関する「地域の慣習(地図等の歴史的資料類)の研究 - 第9章 土地家屋調査士が歩み続けた道
1. 土地家屋調査士制度の誕生 2. 日本土地家屋調査士会連合会の歩み並びに土地家屋調査士制度及び不動産登記制度の変遷
業務報酬統計資料
土地家屋調査士報酬に関する実態調査(土地に関する設問)
1. 土地地目変更登記
2. 土地合筆登記
3-1. 土地分筆登記(パターン1)
3-2. 土地分筆登記(パターン2)
3-3. 土地分筆・地積更正筆登記(パターン3)
土地家屋調査士報酬に関する実態調査(建物に関する設問)
4-1. 建物表題登記(パターン1)
4-2. 建物表題登記(パターン2)
5. 建物滅失登記
(平成28年度実施報酬に関する実態調査※に基づく回答額)
※平成28年9月1日から実施、アンケート回答総数全国3,812通 全国平均回答率22.5%
『業務報酬統計資料』は地域毎の報酬平均が公開されており、業務報酬を見積る際にとても参考になります。
『土地家屋調査士白書2016』では土地家屋調査士の変遷等がデータとして確認出来ます。
「土地家屋調査士白書2016 第1章 日本全国あなたの近くの土地家屋調査士」について考察してみる
ここでは「土地家屋調査士の人口の流れ」「土地家屋調査士試験の受験者について」「都道府県別人口と土地調査士人口の対比」「事務所の補助者について」集計されており、大まかな土地家屋調査士の状況がみてとれます。
土地家屋調査士の人口推移と年代構成
土地家屋調査士の人口推移は年々減少傾向で法人は増加傾向にあります。
年代構成をみてみると60歳代以上が48.3%を占めていること、50歳代以上ともなれば69.3%にものぼる事がわかります。
サイムライ業の高齢化はよく話に出ますが土地家屋調査士も例外なく高齢化しています。土地家屋調査士の受験者数、新規算入者の減少はこれからの大きな課題となりそうです。
都道府県別人口と土地家屋調査士人口の対比
個人的にはこの比較にとても興味を惹かれました。
都道府県別人口と土地家屋調査士人口を比較したものです。人口を調査士資格者の人数で割り、一人当たりの人口を算出しています。
単純に資格者1人当たりの人口が多ければそれだけ仕事に繋がるチャンスがあると考えていいのでしょうか。
その考えでいけば関東ブロック・近畿ブロック・北海道ブロック・東北ブロックが1人当たりの人口が多いようです。
北海道については資格者1人当たり11,018人とずば抜けて高い数値ですが、北海道の冬は長く11月にもなれば測量は出来ない状況になる場所がほとんどです。1年の半分くらいは測量が出来ないわけです。
場所の選定ではこのような地域特有の状況も頭に入れておくべきでしょう。
東北6県で人口対調査士人口の比較にフォーカスする
私の所属は山形ですので「東北6県」で比較してみます。
上記をみていただくと一発ですが、山形がダントツで土地家屋調査士1人あたりの人口が少ないです。
表では山形が調査士1人が抱える人口が一番少ないですが、この比較も注意が必要です。
一見山形で開業するなら、隣の宮城県か秋田県で開業したほうが成功の可能性が高い気がします。
ですがその県を更に市町村毎で比較するとまた違った景色が見えてくるのでは?
所属の山形県をみていきたいと思います
山形県を細分化、管轄法務局毎で比較しました。
山形県の人口は平成28年の統計で集計し、土地家屋調査士の人数は山形県土地家屋調査士会の公式サイトから現在の人数を集計しております。
庁名 | 不動産登記管轄区域 | 土地家屋調査士数 | 人口 | 土地家屋調査士1人当たりの人口 |
本局 | 山形市 上山市 天童市 東村山郡(山辺町,中山町) |
57 | 372,109 | 6,528 |
村山出張所 | 村山市 東根市 尾花沢市 北村山郡(大石田町) |
15 | 95,752 | 6,383 |
寒河江支局 | 寒河江市 西村山郡(河北町,西川町,朝日町,大江町) |
15 | 80,537 | 5,369 |
新庄支局 | 新庄市 最上郡(金山町,最上町,舟形町,真室川町,大蔵村,鮭川村,戸沢村) |
10 | 76,369 | 7,636 |
米沢支局 | 米沢市 長井市 南陽市 東置賜郡(高畠町,川西町) 西置賜郡(小国町,白鷹町,飯豊町) |
37 | 212054 | 5,731 |
鶴岡支局 | 鶴岡市 東田川郡の内 三川町 |
21 | 135,822 | 6,467 |
酒田支局 | 酒田市 東田川郡の内 庄内町 飽海郡(遊佐町) |
26 | 140,386 | 5,399 |
どうでしょうか。まとめてみると意外と面白い事実が見えてきますね。
管轄地域人口が比較的多い寒河江や酒田でも土地家屋調査士の人数が多めなので平均の6,200人より下回る結果となりました。
また管轄地域人口が多い本局や鶴岡ですが、こちらは逆に平均より上回り、新庄に至っては土地家屋調査士が10人ということもあり平均より大きく上回ることが分かりました。
各地域の不動産の流通等によって、土地家屋調査士業の景気は変動するので一概には言えませんが、1人当たりの人口と地域の人口から考えると、「本局」と「鶴岡」の管轄が開業には有利なのでしょうか。
あとは地域の土地家屋調査士にベテランが多いのか、若手が多いのかと言う点で考察するのもいいかもしれませんね。(今回は割愛しますが、要望があればまとめます)
最後に
日調連が公開している情報は読込むと結構面白いことが分かりました。
開業する上で「場所の選定」は重要なことで、選定の判断材料として少しでも参考になればとても嬉しいです。
日調連が公開している情報全てに目を通したわけではないので、気になった内容についてはこの記事に追加していこうと思います。
最後までお読みいただきありがとうございます。
それでは、また。