こんにちは、ゆうぞう(@you3tips)です。
建物の登記記録は表題部(調査士業務)と権利部(司法書士業務)で分かれていますが、
表題部には「所在」「家屋番号」「種類」「構造」「床面積」「登記の原因及びその日付」といった物理的状況等が記録されます。
今回は「建物表題部に記録される登記事項がなぜ必要か?」という話です。
軽い感じでサラッと読める記事です。
Contents
建物登記事項の確認

登記事項|所在
建物が何処の土地に建てられたのかハッキリさせる為に所在が記録されています。
土地の登記では〇〇番と記録しますが、建物では〇〇番地と記録されます。
また2つ以上の土地に跨ぐことになる場合は建物の床面積が一番多く占めている土地が最初で残りの土地を後ろに記録します。
例えば1番、2番、3番の土地を跨ぎ2番土地が床面積の多くを占める場合は、
所在:T市H町2番、1番、3番
のように記録します。
この時2番目以降の土地の記載順番については規定がありませんので自由ですが、私は数字の若い方を先に記載しています。
建物の所在を現地で調べるとき土地の測量の様にトータルステーションを使用することは滅多にありませんので、事前に調査した法務局資料や所有者の供述を参考に土地の範囲を確認していきますが、実はこの作業かなり慎重におこなう必要があります。
土地と建物に抵当権を設定するケースでは建物の所在地全てに設定登記するので、所在の調査を間違うとその後の設定登記や融資関係、取引そのものにも影響が出る場合あります。
更に言えば土地家屋調査士が書いた建物図面はずっと法務局に残りますので、忘れた頃に間違いを指摘する連絡が入る可能性もあります。
ですので実務では十分注意しながら調査をしましょう。
登記事項|家屋番号
原則所在と同じ番号を付します。(登記官が決めます)
例えば3番の土地に新築したのであれば、家屋番号は3番になります。
また3番土地に既登記建物の家屋番号3番がある場合は、3番の2と家屋番号が付されます。
この時3番の1ではない点に注意ですね。
登記事項|①種類について
建物の種類は主である建物、附属建物1棟ごとに定めることになっています。
種類は不登規113条1項と準則80条1項で計37種類が定められていますが、近年の建物用途の複雑化に伴って上記規定に当てはまらなければ適宜用途に合わせて定めることになっています。
なので、サービス付高齢者住宅は「老人福祉施設」となったり、プールやトレーニングジムのようなスポーツを中心とした多目的ビルは「スポーツセンター」となるようです。
また用途が2つ以上の場合は「居宅・店舗」のように定めます。
登記事項|②構造について
構造欄は「メイン構成材」「屋根(屋根材で決まる)」「階数」の3本柱で構成されています。
よくある建物で例を挙げると、
木造(メイン構成材)かわらぶき(屋根)2階建(階数)
このような表記になります。
またメイン構成材や屋根は2種類以上使用することもよくあります。その場合のルールが通達で定められています。
主要構造部の構成材料が複数の組成材の場合
- 構造の表示は概ねその3 分の1 以上を占める組成材を併記して差し支えない。
屋根の種類が2種類以上で葺かれている場合
- 床面積に算入しない部分の屋根については、表示の対象としない。
- 床面積に算入する部分の屋根面積の30%未満の種類の屋根については、表示の対象としない。
登記事項|③床面積
床面積は各階の面積が記録されます。
2階建てであれば、
1階 100・00
2階 50・00
のように記載します。
また、地下がある場合は下記例のように地上階を記載してから最後に記載することになります。
1階 100・00
2階 50・00
地下1階 20・00
登記事項|登記原因及びその日付
建物であれば「新築日」「増築日」「減築・増築日」「種類・構造変更日」などを記録します。
原因及びその日付の記載例は様々なパターンがあるので、今回は割愛しますが表題部変更登記では複雑になることが結構ありますね。
登記事項が設けられている理由
さて、ようやく前述した登記事項が細かく定められている理由ですが、
それは登記されている建物が現地のどの建物なのか特定出来るようにすることです。
建物の特徴を具体的に登記記録に反映させ公示させることで、現地における他の類似した建物と混同することなく識別できるようになるという訳です。
近年の建物は図面がしっかりと残っているので悩まず建物を特定できることが多いですが、建物図面が法務局に残っていないケースが大変です。
特に昭和42年以前に登記された古い建物については殆ど図面が残っていない為、登記記録に記載の表題部と固定資産税名寄台帳などを見比べながら現地建物を調査します。
例えば現地に古い建物があって、建物登記記録には屋根が「草葺」「木羽葺」など近年ほぼ使用されない屋根材の建物が記録されていたとします。
この場合現存建物は屋根を葺き替えただけなのか、取り壊して新築された建物なのか判断に迷うところです。
その他にも増減築されていたりすれば更に複雑化するわけです。
なので出来るだけ事細かな情報を登記記録に残すことで、現地建物と照合する材料が増え間違えのない登記手続きを可能にします。
この手続きがとても重要なんです。
そして重要項目を厳選した結果が前述の登記事項なのだと思います。
最後に
不動産登記は不動産権利の明確化、第三者への公示(対抗要件)で非常に重要な役割を果たしています。
大切な財産を特定する為に建物であれば、どこに(所在)どんな用途で(種類)どの程度の(構造・床面積)建物なのかなるべく具体的に登記記録として残す。
これが建物の表題部登記における本質なんですね。
でも、最後に1つだけ私の意見を述べると
建物完工後、足場が外れれば間近で材質を確認することが出来ないし、遠めから「ガルバリウム」「亜鉛メッキ」「ステンレス」って判断することは大変難しいと思います。
形状なら「切妻」「陸屋根」とか遠めからでも分かると思うのです。

最後までお読みいただきありごとうございます。
それでは、また。
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