本日は筆界特定制度についてです。
電車での通勤時間や移動中のスキマ時間で回答できるボリュームです。
頭の体操にいかがでしょうか。
問1
筆界特定の申請情報に補正することができる不備があり、登記官が補正を認める相当な期間を定めたときは、その期間内に、当該補正すべき事項に係る不備を補正することができる。
答 ○
筆界登記官は筆界特定の申請の不備が補正できるものであり、かつ補正に係る相当な期間を定めたときは、その期間内に不備を補正した場合、当該申請は適法な申請があったものとして処理されることになります。(不動産登記法132条1項ただし書)
問2
筆界特定の申請情報の内容である工作物、囲障又は境界標の有無その他の対象土地の状況については、図面によりその内容を明らかにして申請しなければならない。
筆界特定の申請情報は「工作物、囲障または境界標の有無その他の対象土地の状況」を明らかにしなければなりません。(不動産登記法131条、不動産登記規則207条)
この情報は必ずしも図面による必要はなく、既存図面等を利用して作成されたものであっても差し支えありません。
問3
筆界特定の申請情報の内容である対象土地について筆界特定を必要とする理由は、例えば、工作物等の設置の際、隣接地所有者と筆界の位置につき意見の対立が生じた等の具体的な事情を明らかにしなければならない。
筆界特定の申請は対象土地について、筆界特定を必要とする理由を申請情報としなければなりませんが、
この理由は「筆界特定の申請に至る経緯その他の具体的な事情」をいうものとされています。(不動産登記法131条、不動産登記規則207条)
例えば、隣接地所有者が筆界確認に協力してもらえない場合や筆界確認の際に意見が対立して筆界の合意に至らない場合などが挙げられます。
問4
筆界特定の申請が却下された場合、その申請人は、筆界特定登記官の当該却下処分に対し、審査請求をすることができない。
筆界特定の申請の却下は登記官の処分とみなされます。
登記官の処分を不当とするものは、当該登記官を監督する法務局または地方法務局の長に審査請求することができます。(不動産登記法156条)
少し変な感じもしますが、審査請求は登記官を経由しておこなわなければならない点にもご注意ください。
問5
筆界特定の申請に係る筆界についていわゆる筆界確定訴訟が係属している場合には、当該事件を特定するに足りる事項を筆界特定の申請情報のの内容として申請しなければならない。
筆界特定の申請に係る筆界について、筆界確定訴訟が係属している場合には、筆界特定の申請情報の内容として、当該事件を特定するに足りる事項を提供しなければなりません。(不動産登記規則207条)
具体的な内容としては筆界確定訴訟の係属裁判所、事件番号、当事者の表示などですが、これは筆界確定訴訟の判決が確定した場合、筆界特定の申請を却下する必要があるためです。
今回は「筆界特定」についてでした。
筆界特定は毎年1問、択一問題で出題されていますので、しっかり押さえておく必要があります。
筆界特定の一部を思いつきでまとめます
申請人:土地の所有権登記名義人等(所有権登記名義人、表題部所有者、所有者、相続人又はその他一般承継人)
申請は共有者の一人からでも可能で、その場合、他の共有者は「関係人」となります。また代位申請は認めていません。
例外で土地の一部を取得した人による申請は認められています。土地の全てを取得した人については所有権移転してからの申請となります。
筆界:対象土地と関係土地が接する2点以上の点及びそれらを結ぶ直線
筆界特定の申請(申請情報):(不動産登記法131条、不動産登記規則207条)
筆界特定の申請の却下;(不動産登記法132条、不動産登記規則244条)
筆界特定の申請の却下は「登記官の処分」とみなされるので、審査請求の対象となりますが、筆界特定の内容については審査請求の対象にはなりません。
筆界特定に関する事項は不動産登記法の123条〜150条にあたります。
さらに規則等で細かく規定されているわけですが、択一問題で問われる要点のみではなく一度条文をざっと読むと知識が定着しやすいです。
また、毎年出題されている事項でもありますので、いきなりマニアックなところを突いた問題が出るとも限りません。
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これは不動産登記法1条から164条と附則と重要通達が収録されています。
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